黒か白かの果てに見えて来たもの―『グレイヘアへの道』(1) 2019/1/24/Thu

自分の体でいろいろ試して実験してみるのが好きな私。
過去には、マクロビオティック、冷え取り、グルテンフリー(継続中)、肌断食、といろいろやってみましたが、今現在何をやっているかと申しますと、これでございます!

グレイヘア

昨年2018年には、「(おおさこ)半端ないって」や「ボーっと生きてんじゃねえよ!」などど一緒に新語・流行語大賞にもノミネートされた「グレイヘア」。
テレビなどマスコミに取り上げられ、本もかなり売れているみたいです。

実はわたくし、2年ほど前の2016年、書店でこの本を手に取り、

主婦の友社

「こんな道もあるのかぁ・・・」と驚き、自分もやめるかどうかかなり迷い、でも、結局その時は決心がつかずそのまま染め続ける道を選択しました。
その時はまだ50代前半でしたし、白髪だろうとなかろうと、海外の方が素敵に見えるのは当たり前で、日本ではまだまだ少数派、白髪を染めないことが理解されて、定着するかどうかは疑問でした。
でも、その時にちゃんと、勇気を出して飛び降りて、チャレンジした人達が日本にもたくさんいらしたんですね。
その方たちが2年かけてグレイヘアを完成させ、そして発信し始めた。その流れが広がって、多くの人に周知されたのが昨年2018年でした。

グレイヘアに関するYahoo!ニュースの記事 ←近藤サトさんなど出ております


ただいま私は最後の白髪染めからやっと2か月。
フェイスラインの白髪が目立って、分けて見ると約3cm程に伸びています。
今の自分はどうかと言いますと、もうもうこれは言うまでもなく、かなり老けて見えます、確実に。
でも、2か月経って、まず自分が見慣れて来ましたし、やめると決めてしまうと、老けて見えるのは想定の範囲内、意外と平気です。
嫌なのは、この中途半端な状態ですね。とにかく見た目が美しくない。これはどうにもなりません。
仕方なくひたすら我慢でございます。早く髪が伸びて、この状態を脱したい!
染めていた頃は、髪が伸びるのがあんなに恨めしかったくせに、いざやめてみると、伸びるのが遅くて遅くて、ちっとも変わらないように感じて、無性にイライラしている自分。
物の見え方というものは、見る位置や角度によってこうも違うものかと、正直ビックリする毎日です。


先日の肌断食の時の記事で、「答えが出ない事はたくさんある」と書いた私。
その、
答えが出ない、出せない、最たるものが、これでございました。

白髪染めをいつまで続けるのか問題

現在白髪染めをしている女性の約8割が「いつかは止めたい」と思っている、という調査結果もあるとのこと。
かくいう私も、

・60歳になったら
・孫が生まれたら

どちらかの条件が整ったら、染めるのをやめるつもりでおりました。
でもね、これは私の持論ですが、「いつか」なんて言っている人間に、その「いつか」は巡っては来ません。
もし、やりたいことがあるのなら、たった今この瞬間から行動に移さないと。それが出来ないのなら、それは心の底からやりたいことではない、要するに本気ではないのですよ。
2年前、やってみたいな・・・と思ったのに、迷った末にその道には行かない方を選んだ自分を、今は非常に残念に思っています。あの時踏み切っていれば・・・。
もう、同じ後悔を繰り返さないためにも、

やめてみました。白髪染め

今、やめるのにかなり良い条件が整っております、私。まず
・子供が成人している
・夫がすでにグレイヘアだ
・私は個人事業主なので、仕事上誰からの指図も受けない
・ネット販売がメインなので、人に会わないでも仕事が成立する
・家が仕事場なので通勤がない
・髪が肩より長く伸びている(長い方が隠す方法がいろいろあると思って)
などなど。
それに、やめるべき条件もちらほら
・髪が細く少なくなっている、気がする
・地肌まで染まって来ている、気がする


私はただいま54歳。東京オリンピック、前回大会の年の生まれでございます。
白髪は、40代前半から増え始め、今は前頭部のほとんどが白だと思われます。
染め始めたのはいつ頃だったでしょうか、記憶が定かではないけれど、かれこれ10年ぐらいは染めているはずです。
最初は2か月に1回、それが40日ごとに1回になり、間隔はどんどん狭くなって、ここ2年ほどは4週間に1回、伸びてきた部分に白髪染め(自宅染め)をして、濃いブラウンにしていました。

その4週間の、私の心境の変化はというと


1週目・・・染めたばかり。髪が黒くなり、5歳は若返った気がして、ほっとする。分け目もつけられるし、髪を結んだり、メイクしたり、外出するのも気持ちは明るい。


2週目・・・生え際などに微妙に白が。でもまだ全体は黒い。髪のことは、さほど考えないでいられて、まだまだ気楽な時期。


3週目・・・白の伸びてきた部分が目立ってきて、テンションが徐々に下がり始める。鏡を見るたびに憂鬱。


4週目・・・白が1cmぐらいになって、気分的に限界。外出する時は帽子をかぶったり、リタッチしたり、隠すのに必死。何を着ても似合わないし、メイクも楽しくない。なるべく人に会いたくない。


この無限ループ。
これ、いつまで続くんだろ・・・
毎回毎回、疑問に思いながらも、やめられないでいたのは、いったいどうしてなんだろう。

そう・・白髪は病気ではないし、老けて見えたところで死にはしない。なぜそんなに髪が黒いことに執着してきたのだろう。

実際私は、東日本大震災の後、髪を染めている最中に毎回必ず考えている自分がいます。
今、何か起きたら、私はこのままの状態で非難するんだろうか・・・
もちろん、災害は時を選ばずやって来ます。お風呂で裸でいる時かも知れないし、トイレに座っている時かも知れない。
なのに、髪を染めている時にだけ、そういう思考に強く引き込まれるのは、要するに、お風呂やトイレとは違って、本当は必要ないことをやっているから?
それを自分で薄々感じていたからなのかも知れません。


そんな時に書店で見かけたグレイヘアの本。かなり心が揺れました。

もちろん、今までも白髪を染めない素敵な方はたくさんいらっしゃいました。
でも、だいたいは60代70代の私より少し年上の方たちで、実際は現実味がありませんでした。
ところが、ここ最近の波は違います。
50代はもちろん、さらに30~40代でもグレイヘアを選択する方が増え、女優さん、タレントさん、モデルさんなどだけでなく、一般人にもその波が確実に広がっていると感じます。

一般人と言ったって、メディアやファッション関係の一部の人たちだけの話でしょ?と思いきや、私の周囲にさえ、その波は打ち寄せてきているようで、先日、園芸ショップにお花を買いに行きましたら、白髪を染めていないグレイヘアの素敵な方を2人、図書館でも1人お見かけしました。

そっと、気付かれないように、観察する私・・・

何だか、すごくお洒落に見える。
眼鏡が似合ってて、知的な感じ。
ボーダーシャツやパンツスタイルがカッコいい。
店員さんと明るく会話していて、若いのか高齢者なのか、パっと見は年齢不肖。

髪が黒だろうと白だろうと、胸を張って、今を楽しんでいる感じが外見からひしひし伝わってきて、隠そうとしている自分が逆につまらない存在に思えて、いたたまれない気持ち。

私も、一度染めるのを止めてみようかな・・・。
そう決心するまでには、とにかくずっとくよくよと考え続けました。
ひとたび考え始めると、そこでは、黒い私と白い私の、戦いの火ぶたが切って落とされる、白黒戦争。


黒わたし:だって、黒く染めたら最低でも5歳は若く見えるのよ!

白わたし:若くって、たかだか55歳が50歳に見えたからって、何かいいことあるんですか?

黒わたし:そりゃ若く見えるに越したことないでしょ。

白わたし:そう?年とることっていけないこと? 老い=悪なの?

黒わたし:日本は、若いことが素晴らしい、そういう国なのよ。髪は女の命って言うでしょ?

白わたし:別に髪が白くたって死にはしないわよ。それって、固定観念にしばられているだけよね。一体誰のために髪を黒く染めてるの?


調査すると、50代女性の大半が、いつかは止めたいと思いながら、それでも白髪染めをやめられないのだそうです。
それはいったいどうしてなのでしょう。

・仕事のため
職種によっては、少しでも若く清潔に見せなければならない、そういうこともあるかも知れません。理不尽だとは思うけれど、仕事を失うわけにはいかないから黒髪しか選択肢がない。

・子供のため
子供が就学児の場合、ここのハードルは高いと思われます。PTAや学校行事など親が関わる場面も多く、母親が若く見えることを強く望むのは子供にありがちな感情で、仕方ないのかも知れません。

・夫のため
やはり、妻がなるべく若く見えるのを望むのかな?と想像しています。全てとは言えないけれど、大半がやはり若い女性、若く見える方を好むのでしょう、きっと。

・親のため
この歳になって親のためというのも不思議だけれど、親にとってはいくつになっても子供は子供。「まだ若いのにもったいない」とか「白髪を放っておくなんてみっともない」とか言うらしいです。そりゃ、親よりは若いですよ・・・。でももう若者ではありません、白髪ぐらいありますよ。

・知人友人のため
同年代の知人友人の外見は、やはり気になるものです。同い年なのに白髪1本なく、シミも皺もなく、全然老けない人がたまにいて、そういう人を見ると、かなりへこみます。

・近隣の目のため
これもやはり子供が就学している場合は、厳しいかも知れません。気にしないでいるには、かなりメンタルが強くないと。


黒わたし:私の場合は、誰のためでもない、自分のためよ。自己満足のため。

白わたし:でもその自己満足って、2週間しか続かないじゃない。あとは、疑問と葛藤でモヤモヤしてる。

黒わたし:いけない?

白わたし:だって、もったいないじゃない。人生は一度きり。モヤモヤしているエネルギーをほかのことに使ったら?

黒わたし:一度きりの人生だからこそ、少しでも若く居たいの。

白わたし:でも、髪を黒く染めたところで、もう20代30代には見えないのよ。

黒わたし:でも染めなかったら、実年齢より上に見えちゃうかも知れないじゃない。そんなの損よ。

白わたし:若く見られて得したことなんて一度もないじゃない。


そうでした・・・。
身長が低くて小柄な私は、いつも実年齢より若く見られる傾向にありました。でも、
自分では、若く見えると良いことがいっぱいあると思っていたのに、実際は損したことばかり。
お店を持っていた頃は、店舗の賃貸契約から始まって、資金調達、商談、接客、教室、お店の仕事のほとんどで、若く見られて損をした記憶ばかり。
若いことは「未熟なこと」「経験不足なこと」「安定していないこと」と思われるのに、こと外見のこととなると、若いこと=素晴らしいなんて、何だか矛盾していてわかりにくい。


白わたし:いいじゃない、旦那さんもグレイヘアなんだから、仲良くお揃いにすれば。

黒わたし:お揃いなのはいいけど、私の方がふたつ若いのに、私の方が老けて見えたらくやしいじゃない!

白わたし:はあ?その対抗意識って必要?・・その負けん気は、ほかの所で生かせないの?

黒わたし:だって同年代の人で髪が真っ黒な人っているじゃない。自分は・・って落ち込むじゃない?

白わたし:それ誰のこと?その人も実は何かに悩んでいるのかもよ。それに、人と比べることに何か意味があるの?ばかばかしい。

黒わたし:だって・・・白と黒が混ざってると、だらしなく見えるわよ。ずぼらな人間に見える。

白わたし:もともとあなたずぼらでしょ。それに、白だろうと黒だろうと、努力しないできれいでいようなんて図々しいわよ。


そうでした・・・、老けて見えるのは、白髪のせいばかりではありません。
もちろん、髪は一番上にあって面積も広いから、影響が大きいのは確かです。
でも、髪の他にも老けて見える要素はいろいろ。

・肌のたるみ、くすみ、しみ
・ほうれい線
・シワ。特に口の上のタテ線。首のしわ
・眉が薄い、細い
・歯や目が黄ばんでいる
・姿勢が悪い
・表情が乏しく、不機嫌な顔をしている

どうしましょう・・・ほぼ当てはまる・・・


白わたし:髪が黒くて5歳若く見えたところで、他がダメなら全然キレイではないわね。逆に、白髪交じりの髪でも、お肌にツヤがあって、目がくるくるよく動いて口角が上がっていたら、キレイに見えるのよ。

黒わたし:信じられないそんなの。私には黒髪が似合うのよ、絶対に。

白わたし:50年生きていれば、白髪もあればシミもある、それが普通でしょ。白髪も自分の一部なの。黒だろうと白だろうと、元気に髪が生えて来てるんだからそれを幸せと思えないの?

黒わたし:でも、髪を染めていつまでも若くいようと頑張っている人もたくさんいるじゃない?いわゆる美魔女っていう?

白わたし:それもひとつの道ってだけ。単なる選択の違いよ。逆らって挑戦していくことを選ぶ人もいるし、受け入れてそこから新しい道を行く人もいる。どちらも自分次第ってこと。それに、きれいな人はちゃんと努力しているのよ。文句ばっかり言ってないで、自分も頑張りなさい!

黒わたし:髪が白い・・・きっと気分が落ち込むと思うな、わたし。

白わたし:逆らしいわよ。もう悩まなくていいのよ。「ああ、また染めなきゃ」って思わなくていいし、いつまで続くの?ってモヤモヤしないで済むから、かなり楽になれるらしいわよ。

黒わたし:ほんとかなぁ・・・いまいち信じられない。白髪まじりよりは染めている方がさすがにましなんじゃないの?

白わたし:でもあなた、それって染めてからたった2週間の話でしょ?そのあとは必死に隠そうとしている。いつかやめるつもりなら、一日でも早い方がいいわよ。今すでにグレイヘアを完成させている方たちは、もう何年も前からやめているのよ。あなたすでに出遅れているんだから、迷ってる場合じゃないわ。

黒わたし:でも、どうやってやめる?移行期は大変だし、忍耐が必要よね。

白わたし:そう、髪が白くなって老けて見えることじゃないの。移行期をどう乗り切るか、問題はそこよ!


本当に。
今の私の興味は白か黒かグレイかではなく、どうやってこの時期をやり過ごすかに移っています。
ある程度伸びたらショートにするか、ロングのまま伸ばし続けるか
・切るのはいつでも切れるんだから伸ばしたままでひたすら耐える方がいい
・伸びるのは黙ってても伸びるんだからとにかく一旦短く切って中途半端を脱した方がいい
と、他人からしたらどうでもいい問題で日夜悩んでおり、お気楽そのものです。
髪と地肌のメンテナンスをしたいので、ブリーチなどはしたくないし・・・

白と黒の境い目がハッキリして来て、今は、外に出る時は帽子が必需品。
人目が気になる時期。
誰も私なんて見てないのにね。(笑)
(自撮りってむずかしい。顔半分切れてる)

グレイヘア完成までは少なくとも1年、ロングの場合は約2年。
長い・・・
それにしても、わたくし、”ある程度続けて、気が済んだらやめる”という習性のある人間でもあるので、またいつか黒く染め始めるということもあるかも知れません。
でも、しばらくは染めずに伸ばしてみようと思います。どんなふうになるのかな、楽しみです。
また経過報告したいと思います。


私の場合は、白髪染めをやめてみるにあたり、「偏見をなくして女性を解放する」とか「ありのままの自分で生きる」なんていう志の高さはあまりなくて、ただただ染めるのが面倒なのと、自分の髪が黒じゃなかったらどうなるのだろうという興味が、主な理由です。
でも、今回いろいろネットで見ていて思ったことは、早い人は10代から、若くして白髪で悩む方たちがたくさんいらっしゃるので、髪に白いモノが混じっていることを、若い方が思い悩まなくて済む世の中になればいいなぁ、と願っています。


ここのところずっと、今から40年も昔の、中学の同級生のことを思い出しています。
彼女は演劇部で、背が高く痩せていて地味な顔立ち、そして、若白髪でした。
意地悪な子が、「○○ちゃんがやるなら、おばあさんの役しかないよね」と言うと
「おばあちゃんでも何でもいいよ。役がもらえるなら」と言って笑いました。
その後、文化祭当日、本当に、厳格な大人の家庭教師役を見事に演じきって、もう誰にも何も言わせない、神々しい存在となりました。

14歳の頃すでに、本当に大切なことは何かを知っていた同級生。
私からは、背中も見えないほど、ずっとずっと先を行っていたんだな、あの子は・・・。


今、グレイヘアへの道を歩き始めているみなさま、一緒に頑張りましょう!

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2019-01-24 | Posted in つれづれなるままに | タグ: Comments Closed 

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