黒か白かの果てに見えて来たもの―『グレイヘアへの道』(2) 2019/4/25/Thu

前回のグレイヘアについての記事は、思いがあふれたのか、7000字近い長いものでした。
最後まで読んで下さった皆様、ありがとうございました。

あの記事から3カ月、今私は、最後の白髪染めから5カ月が過ぎたところです。
その間、商品の注文の際に、記事の感想やら、「私もグレイヘア挑戦中です」「白髪染め、私も止めました」「やめたいけど迷ってます」「すでに挫折しました」など、実際にグレイヘアにした方や、今ちょうど移行中の方から、一度始めたけど止めた方まで、いろいろメッセージをいただきました。
サイトのお客様は、私と同年代50代の方も多く、やはり「白髪染めをいつまで続けるのか問題」は身近な、そしてなかなか答えの出ない切実な悩みであり、誰しも少なからず髪の問題を抱えているという現実を目の当たりにした貴重な機会でした。
たかが髪の毛のこと。
されど、これは幸福感とも深く係わりがあるように思え、決して小さな問題ではないのでございます。

さて、
この5カ月の間、私がどんなふうに過ごしていたか、ご報告させていただきます。
今まさしく移行中の方や、やめようかどうしようか迷っておられる方に、少しでも参考になることがあれば幸です。
正直、白髪が中途半端に伸びていた5か月間は、精神的には非常に厳しかったです。
一番気持ちが暗かったのは3か月目ぐらいで、一人で勝手に始めたことなのに、自分のやっていることの意味が自分でよくわからなくなって来ていました。
「なんでこんなことしているんだろう・・・」って。

途中髪を短く切って、メッシュを入れたり黒髪をぼかして境い目を目立たなくするという方法もあるのですが、私はただただひたすら我慢して育てるという方法を選びましたので、外に出るときは必ず帽子をかぶって、極力人目を避けて生活しておりました。
鏡を見るたびに老けた自分にがっかりして落ち込むし、とにかくひたすら髪のことが頭から離れない。
憂鬱だし、いつまでたっても中途半端な見た目で、ため息ばかりついていました。
それでも、何故かまた白髪染めを再開しようと考えなかったのは、自分でも不思議でしたよ。
どうせまた後悔するのが目に見えていたし、始めたことを途中でやめるのがもったいなくて、決してそっちには戻りませんでした。

私は始めた時点で肩より少し長めのセミロングヘア。染めていた部分の濃い茶色の髪と、伸びて来た白髪の境い目がくっきり・・・。
隠そうにも、もうどうやっても隠れてくれません。家ではもう観念して生え際はあえて見せて、こんなふうに片側で三つ編みにして垂らしていました。
このころの私を表するなら「ちょっと変わったおばさん」。
外に出るときは帽子が必須です。
ヘアバンドなども買ってみましたが、逆に目立たせているようで、結局使いませんでした。
この時期、とにかく人目が気になります。

でも、今になって考えてみると、これって結構笑えます。
だって、気にしているのは自分だけで、他人は私の生え際など全く見てなどおりません。
見られているって思うこと自体、自意識過剰です。
特に、東京などにおりますとみんなそれぞれに忙しくて急いでいて、赤の他人の外見が目に残るなんてことは、まずあり得ません。どんどん流れていってしまいます。
スーパーなどで買い物をしていても、みんなが自分の髪を見ているように感じているのは私だけで、誰も見てなどおりません。
こっちが、見られているのでは?と気にして見るから、視線を感じて相手もこっちを見るのです。
ですから、お店の中では常に商品を、町の中では地面や風景だけを見ていればいいわけです。
我が道を行く。これこそが移行期を乗り切るコツですね。
好きでやっているのよ、それが何か?という開き直り。
知り合いには敢えて隠したりせず、自分から率先してカミングアウトして、逆に励ましてもらうのがいいのかも知れませんね。
そして、とにかく考えないことです。
暇だと、髪のことが頭に浮かんで落ち込みます。
忙しくして、考えないで居られれば、その間はなぜか早く髪が伸びるみたいです。(気のせい)

そして、なんとかかんとか5カ月を乗り切り、迷った末、髪を切りに行ってまいりました。
今の私はこんなです。
グレイヘア

まだ、染めていた部分が取り切れなくて、本来の色である黒髪と白髪、そして染めていた部分の茶色の、三毛猫状態です。
でも、ほぼグレイヘアになって、やっと中途半端状態のトンネルの終わりが見えて来た感じ。
心配していた髪のボリュームも回復してきたみたいで、久々に、帽子をかぶらないで外に出てみました。
そーっと、恐る恐る・・。

建物のガラスに映る自分の頭が、それはそれは白い。
短く切ってみて初めてわかりましたが、思っていた以上に白の割合が多い!
グレーと言っても、黒に白が混じっているのではなく、白に黒が混ざっている感じ。
これじゃ白髪が伸びて来た時に、目立つわけですわ・・・。

ロングヘアから突然のベリーショート。
本来なら、これだけでも結構恥ずかしいのですが、加えて髪が白い。
美容室を出て、家までの道のり、人の目が気になって、やっぱり帽子をかぶろうか迷ったけれど、いや、もういいや・・・。
別に悪いことしているわけでもないし、もうこれで生きていこう・・・そう腹を決めました。

家族に会って、特に何も言われなかったので一安心。
それでも、まだ半信半疑だった私がやっとトンネルを抜けられたと思ったのは、こんなことがあったから。

髪を切った数日後、高速道路のサービスエリアで買い物をしました。
会計に行くと、思いがけずレジの女性から「短い髪がお似合いですね!」と声をかけられました。
車の中で半分寝ていて、化粧もとれかけていたので、「いやもうこんな白髪で・・・」と手をパタパタさせて照れ笑いすると、
「すごく素敵で、入っていらした時にすぐ目に留まりました。ずっと短くされているんですか?」と、私の白髪まじりのベリーショートに興味津々のご様子。
見ると(同年代っぽい)その方は、いかにもヘアカラーで染めたと思われる栗色の髪。この方も、悩んでいらっしゃるのかな・・・
もっといろいろお話したかったけれど、ここは国内で最も利用客の多いサービスエリア。そんな暇もなく、双方「ありがとうございました」と言い合い、その場を去りました。

なんとなんと!見ず知らずの方に髪を褒めてもらえた!
お世辞が半分入っているのを差し引いても、やっぱり嬉しくて、やっと黒髪への未練が断ち切れたような気がしました。

そうしたら、だんだんと楽しくなってきましたよ。
黒髪の頃は、例えばデニムにスニーカーなんていう格好が、50代の私には頑張りすぎのイタイおばさんファッションになっちゃって違和感がぬぐえなかったけれど、グレイヘアになったら妙にしっくり来て、見ようによってはベテランスタイリスさん風?なんてね・・
久々にイヤリングつけようかな、白いシャツも欲しいな、と、いろいろ楽しいことで頭がいっぱいになってきて、背筋も伸びたような。
トンネル抜けたかも・・・。

まだ真のグレイヘア完成までには、しばらく時間がかかります。
あと数回カットして、染めた部分がすべてなくなるまでは、数か月かかるでしょうか。それでも、もう帽子もいらないし、風が吹いて生え際が見えても平気。
気持ちは穏やかで、静かに今後の自分を見つめていけそうな気がしています。

今回髪をカットするにあたり、今までの所で何か言われたわけではなかったのですが、やはり美容室は新しい所に変えました。
気分一新、生まれ変わった気持ちと言ったら大げさですが、もう髪のことはしばらく考えないでこれでいいか、と、割り切れたような。

確かに、髪の毛が白いと老けて見えるのですが、実年齢と見かけの合致って、必要なことなんだろうか?って、あらためて疑問に思いました。
結局みんながそれぞれに勝手に年齢のイメージを作っていて、それって私にはなんの意味も持たないことなんじゃないのかな・・・て。
私自身も、60になったら白髪染めをやめようとか、もう50代は○○は履けないよな~とか、勝手に年齢の壁を作ってその中で生きていたのだけど、それって考えてみたら馬鹿馬鹿しいことで、いくつだろうと、好きな髪で、好きな服で、生きていけばいいのではないかしら。
また黒髪が生えてくれれば一番いいけれど、もうそれは叶わない。
だったら、私はもう、染めてまではいいかな・・。
生えてくる自然な髪のままで、機嫌よく暮らしていく方法を探せばいいような気がしてきました。

だから、さっそく白いスニーカーを買った私です。
とりあえず、せいせいしたのは、4週間ごとの白髪染めの面倒がなくなったこと。
白髪が伸びて来た時にメンタルが激しく上下することからも解放されて、逆にメイクやファッションにも興味が増しました。
これからこの髪色にあわせて、身に着けるものを見直し、整えていこうと思っています。
私の場合は、今のところは、挑戦してみて良かったかな・・という感想です・・グレイヘア。
こういう選択肢もある。良い時代になりました。

先日、光野桃さんのエッセイを読んだら、こんな一節が心に残りました。

゛若く見えることにしがみついているうちは、若者チームの最年長だが、それをきっぱり振り切ると、大人チームの一年生。冒険しつつ成熟を目指すフレッシュな人生が待っている“

「白いシャツは、白髪になるまで待って」光野桃(みつのもも)(幻冬舎)

 

2019-04-25 | Posted in つれづれなるままに | タグ: Comments Closed 

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