懐かしの黒電話 2009/3/30/Mon

「いい声」の人に出会うと、嬉しくなってしまう。
芸能人や有名人なども、テレビでは好きになれないのに、ラジオでは、結構いいと思える人がいる。
声のせいで。

私は、音楽を志した人みたいに優れた耳をもっているわけではないけど、音質の好みはハッキリしている。
夫とは、「電話で話す声」が好きで結婚したのに、一緒に暮らしてしまうと、電話で話すことってそうそう無いものだ。
なんかモヤモヤする・・・

そんなことはさておき、その夫の「いい声」を生み出していたのはこの黒電話。
独身の彼は、これで私の家に電話を掛けていた。

これは、日本の古い電話機。
我が家は、夫の仕事柄、家具の多くはイギリスの古いもの、家具以外にも、様々な古いものやジャンクがある。
そういう物を、ただ飾ったりコレクションするだけじゃなく、使えるものは使いましょう、という二人の共通した考え方に則って、この黒電話も、結婚後、配線してしばらく使っていた。

当時すでに、ダイヤルの電話なんてほぼ絶滅、コードレスの電話機が主流になりつつあった頃。
この黒電話、会話の途中に雑音が入ったり、番号を回し終わるのに時間がかかる(例えばひとつ数字を回すと、それが戻り切るまで次の数字は回せない。当然、9とか0が続く番号だと戻るまでがすごく長い)など、不都合は数知れなかったけれど、2人ともその不便さを結構面白がっていた。

結局、今考えると、尋常じゃないこの受話器の重さに負けて使用を断念したのだけど、あの頃は、「不便」を楽しむ余裕があったんだな、と思う。
今はなかなか取り戻せない、だからこそ、忘れたくない感覚。
不便を楽しむって、とっても贅沢なこと。

2009-03-30 | Posted in 暮らしのあれこれ | | Comments Closed 

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